X-ファイル シーズン8 第3話 爪痕

前回の「サーチ・フォー・モルダー」から、ドゲット捜査官が正式にX-ファイル課に着任し、最初の事件。「いかにも」Xファイルらしい謎めいた、連続殺人事件の解決にドゲットとスカリーが挑みます。

私としては犯人はどうでもよくて、見たいのはスカリーとドゲットがどんな関係を築けるのか。前回の「サーチ・フォー・モルダー」では協力もあったけど、基本的には激しく対立していましたから、しばらくはここに注目したい。

★★★★


ドゲット、初出勤

冒頭、モルダーの机の上のネームプレート「FOX MULDER」をどうしようか迷うスカリー。しまいかけたところへドゲットが見学者を伴って出勤してきます。これが気に入らなかったんでしょう。

「僕はどこで仕事を?」(ドゲット)
「ここは私の相棒の部屋。(あなたは)一時的に借りているだけ」(スカリー)

と、あくまでも部屋の主はモルダーであることを宣言し、しまおうとしていたモルダーのネームプレートを机の上に戻します。

ドゲットの反応がちょっと悲しそうで微妙。ドゲットは「将来は長官の椅子も夢ではない(S8-#2 スキナー)」ほど優秀な捜査官なんですが、X-ファイルでは新任(カーシュの陰謀)。スカリーに事件の説明を受けますが、「何から始めたらいいか、わからない」と素直に告げるところは、なかなか良いです。

「サーチ・フォー・モルダー」では激しく対立していたドゲットですが、今回から驚くほど素直。これはこの分野は未経験というのもあるし、自分がどうスカリーに思われているかをよーく理解しているし、きっといい関係を築きたいんでしょう。

スカリーが「狙われている」と判断した老人を張り込み中の二人の会話。スカリーはモルダーばりに発想を「飛躍」させるわけですが。

「論理的な推理だと思ったわ でももしかしたら無理やりつじつまを合わせたのかも」
「飛躍の話は?」
「無理があったわ」
「何が?モルダーになることか」

モルダーが不在になったので、今度は自分がモルダーの役割を果たさなければならないという思いがスカリーにはあるようです。それをしかりと踏まえたドゲットの発言。スカリーを非難することもなくちゃんと認めています。

 

コウモリ男

で、まあ犯人はコウモリ男。40年前にどうのこうの。あーでもない、こーでもない。匂いをたどって復讐するとかしないとかありましたが、先ほども書いたように、私にとってのポイントはドゲットとスカリーの関係ですから、ここは重要ではありません。どうせ怪人系は逃げるんだから。チープ感が漂うのも、この際ですから良しとします

しいて言えばコウモリ男というよりも、ムササビ男。

結論。ドゲットさん、カッコいい

コウモリ男の襲撃をスカリーをかばいつつ、銃で撃退するドゲット。事件後のオフィスでは、冒頭と同じようにスカリーがモルダーのネームプレートを持って物思いにふけっているようなところに、ドゲットが登場。

ひととおりの会話が終わったあとで、「私に構わずどこでも好きな場所で(仕事をして良い)」とドゲットに告げ、モルダーのネームプレートを引き出しにしまい込みます。この時のドゲットの表情が少し緩みます。

「今回の件だけど 守ってくれてありがとう」(スカリー)
「守るも 守らないもない お互い様だよ」(ドゲット)

こんなキャラクターなんですね。ドゲットさん、なかなかのイケメンぶりを発揮!日本では今Dlifeで放送してますが、これアメリカでリアルタイム(2000年11月 - 2001年5月)で見ていた人の間では、ドゲットの登場について賛否両論喧々諤々あったとは思います。モルダーじゃないとヤダ!とか。もう見ない!とか。

でもそんな声があったにせよ(きっとあったはず。憶測ですけど)、「この人、けっこうやる人?」と思わせるに十分な魅力あるキャラクター。誠実さとか実直さとか、モルダーとはまた違った魅力。モルダーの降板でガッカリした人も多いのかもしれませんが、私はそれよりも、ドゲットに対する期待感がはるかに大きいです。